城の裏面
屋根の大修復が終わったら、かなり立派になるでしょうね。
城の中に入って一周。城内見学者はそのとき私一人だったのですが、蔵書室でパイプオルガンの音楽を聞かせてくれました。一人、暖炉の傍の肘掛け椅子に座って聴いたときの至福!想像できる?
マダムの部屋は南向きの一番いい部屋。バスルームもすごい。ムッシューの部屋は北西向き、バスルームが小さい。元英国王でも、小さいほうの部屋を取るんだ、、、。
ずっと前に読んで印象に残っている本をご紹介しましょう。エドワード8世のことを調べた本で「裏切った王」といいます。 (英語原題Hidden Agenda. Martin ALLEN著)
エドワード8世は、王位を捨て、離婚歴2回のシンプソン婦人とカンデ城で結婚した。
昔、日本でこの話を聞いたとき、恋の為には王冠も捨てるのだ、、、とすごくロマンチックな話に感動をしたものです。でもこの本を読んで、公式の見解とは全く違った裏話があることを教えてくれたのです。引用の文献にかなり信憑性があるのでご紹介しますね。
著者によれば、イギリス王室が、長年国家機密として保管していた資料が解禁になったことで、この本が書けたそうです。
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1936年、イギリスではジョージ5世亡き後、エドワード8世(ウインザー公)が王位を42歳で継承。彼は独身です。彼が若い頃、英王室と親戚関係にあった、ロシアのニコライ帝がロシア革命で処刑され家系を絶たれたこともあったし、エドワードは、共産主義に対する嫌悪から、当時ドイツで台頭していたナチスのファシズムに傾倒し、ボードウィン内閣は王エドワード8世の親ドイツ寄りの全体主義思想はイギリス国民にとって民主主義に反する大きな危険であり、何とか対処しなければ、と思っていた矢先。
たまたま独身の王は、当時アメリカ人ジャーナリストで2度の離婚経験のあるマダム・ワリス・シンプソンに恋をしていたので、表面的には、世紀の恋のために王冠を捨てたという形で退位して頂く。
1937年、退位を余儀なくされた、エドワード8世は、弟のジョージ6世に王位を譲り、ウィンザー公としてシンプソン婦人とフランスで結婚した。(その後、イギリスの王位は、ジョージ6世から娘のエリザベス2世に移っていきました
フランスでは、ヒトラー下のドイツで一挙に富を築いたシャルル・ブドー夫妻が、ウィンザー公の結婚を準備。蜜月の住まいのために、自分の城カンデ城を提供した。著者の引用文献によると、このブドー氏、ドイツでの暗躍で、スパイとしてマークされていた人物。(第二次世界大戦後、連合軍の監獄で自殺したそうです。)
(余談ながら、城内説明によれば、ブドー氏は仕事の合理化・能率に関するノウハウを開発した先駆的存在で、巨富を得たそう。トヨタの「カイゼン」の草分けなのですねえ。)
ウインザー公とシンプソン婦人の結婚式の贈り物リストの中には、ヒトラーからのものもあったとか。
ウィンザー公の親ナチス的言動は当時広く知られていて、それで王の座を追われたのだそうですよ。
ところで、カンデ城の近くに、シャトー・ダルティニーという素敵なホテルがあるのでちょっと紹介ね。
これは、香水王コティーが建てた1900年始めの建物ですが、テラスでお茶など、いかがかしら?